登壇者紹介

YourPosition_登壇者三名

登壇者の3名。左から竹内氏、廣嶋氏、山東氏

廣嶋 勇紀 (ひろしま・ゆうき)氏

1986年生まれ。
大学にて管理栄養士養成課程を卒業後、一般企業に3年従事。
退職後、文化服装学院 服飾研究科に入学し、その後技術専攻科に進学。
卒業後、婦人プレタポルテ向け布帛縫製工場の三恵クレア社にパタンナーとして入社し、パターンと裁断を担当。
現在は、コレクションブランド ”matohu” を運営するリューズデン社のチーフパタンナーとして活動。

山東 俊雄 (さんどう・としお)氏

1977年生まれ。
大阪モード学園卒業後、メンズの外注パターン会社へ就職。
代表の病気で会社をたたむこととなり、株式会社日本アパレルシテムサイエンスへ移動する。
その後独立し、 「株式会社prove works」を立ち上げ、現在9期目。
外注のパターン会社という立ち位置で、8名のメンバーとともにコレクションブランド、アウトドアブランド、紳士服など、様々な取引先のパターン作成に取り組んでいる。

竹内 京子 (たけうち・きょうこ)氏

フリーランスのパタンナー(キッズ)、CAD講師。
専門学校卒業後、株式会社ナルミヤ・インターナショナルに入社。
イトーヨーカドーなど子供服・大人のパターン作成に携わる。
現在はフリーランスとして、セレクトショップ・ファクトリーブランド、商社などの依頼でパターン作成を行うほか、「Tokyo Fashion technology Lab」の3D CAD講師としても活動。

パタンナーになったきっかけと、実際になってみて思ったこと

廣嶋:大学を卒業し、一般企業での仕事を経て文化服装学院に入学しました。そのきっかけは、ちょうど一般企業で働いていた頃に東日本大震災があり、人はいつ死ぬかわからないと思ったことですね。当時からファッションが大好きだったのですが、自分にはデザインする能力はないのと、性格にあっていると思い、アパレルの職種のなかでもパタンナーを目指すことにしました。

山東:もともと服を作りたいというよりは売りたいと思い服飾専門学校に通っていました。学生時代に仲間たちとファッションショーをしたり、友人の服を作ったりする中で、縫製が周りの学生よりも上手くできたこともあって、パタンナーを目指すようになりました。

竹内:私ももともと服が好きでしたが、パタンナーという職種のことは知りませんでした。最初は海外で服の買付をするバイヤーになりたいと思い、大学で英語を学んでいました。卒業後は就職活動をせず、古着屋さんや靴屋さんで販売の仕事をしていましたね。そこで知り合ったデザイナーの方と生産の方に進路相談をしたところ、専門学校を進められて服飾専門学校に通い始めました。そこでパタンナーという裏方仕事を初めて知り、作業の面白味を感じていくようになりました。

YourPosition_廣嶋さん

ーーイメージとのギャップはありましたか?

廣嶋:縫製工場の時代は、できたパターンをデータか紙でもらって、それを製品化していましたが、同じパターンでも工場によって違いがあります。そんな時は、縫い子さんなどと相談して、細かい技術で調整して仕上げていました。その経験から、次の工程を担当する人が仕事をしやすいように、何も分からない人にもすぐに分かるように仕事することを心がけていましたね。
今はコレクションブランドなので、シーズン毎に大変さを痛感し、心が折れそうになることも結構あります。縫製工場にサンプルを出す直前まで、パターンを引いているような状況もありますね。

山東:とにかく細かい、というのが一番のギャップでした。ミリ単位でこだわり、繊細に気をつけて作業をしていました。また、工場に縫製してもらう場合は、自分の意図がなかなか伝わらない場面もありましたね。一方で、工場で調整してもらうこともたくさんあるので、パタンナーと工場はお互い協力していくことが大切だと思いました。
新人の頃は自分自身が繊細だったこともあり、修正がうまくできない、時間が足りなかったりすることや、業務量の多さなどで心が折れていました。でも最近はそういうこともあまり無いですね。

竹内:こんなに残業するのか、という印象でしたね。いくらやっても終わらない作業量で、終電で帰る毎日でした。だからといってそれが嫌だったわけではなく、やりがいを感じていました。とても良い経験になったと思います。
新人の頃でも特に心が折れたような記憶はなく、苦労はしても心が折れるまでではなかったですね。

デザイナーなど他の職種と違うこと、パタンナーに向いている資質とは

廣嶋:パタンナーに向いている資質としては、まず根気強さだと思います。デザイン画を見て、できないと言って突き返すことはできないので。デザイナーとコミュニケーションをとりながら、パタンナ―は自分の持つスキルの中でいかにデザイン画に近づけるかを考えないといけません。どうすればできるかという思考回路を持ち、色々な技術や経験を活かせる人がパタンナーに向いていると思います。

山東:パタンナーは「中間」だと思っています。デザイナーのデザインがスタートで、工場で仕上がる製品がゴールです。パタンナ―はその間を橋渡しする職業なので、コミュニケーションや伝達能力が必要だと思っています。

竹内:細かい数字を気にするところかもしれません。また、デザイナーがやりたいことは一回やってみて、その結果で次の展開を考える人はパタンナーに向いていると思います。頭を柔らかくして、違う方向から見たり、アプローチできる方が良いと感じています。

YourPosition_山東さん

今後のキャリア・目標について

廣嶋:この人でなければ、と思われるような仕事をするのが目標ですね。相手にとって印象に残るパターンを作り、デザイナーのイメージにできるだけ近づけられるように精度を上げていきたいです。日々の小さな積み重ねや努力を経験としてプラスにして、自分の引き出しをうまく活用していきたいと思っています。

山東:3D CADを社内で本格的に導入していきたいと思っています。また、海外での仕事を増やし、日本のパタンナーの技術が世界でどの程度通用するのかも試してみたいですね。

竹内:フリーランスでパタンナーをしているので、新規顧客を増やしていきたいです。また、80歳を超える叔父、文化服装学院名誉教授稲荷田先生が、いまだ縫製やパターンに意欲的に勉強している様子を間近で見ていて、自分もこうなりたいといつも思っています。目標を常に持ち、探究心を持ち続けていきたいです。

未来のパタンナーを育てる上で意識していること

廣嶋:人を育てる上で大切にしているのは、コミュニケーションをとりやすい環境を作ることです。些細なことを話せないと、大切な相談もできません。当たり前は人によって違うので、物差しが違う人同士が仕事をする時に、「当たり前だから」と恥ずかしくて聞けずに間違ってしまい、外部の方や工場に迷惑がかかる、ということが起きないように、できるだけコミュニケーションをとっています。なので、後輩に質問されても教えるというよりは、まず「なぜか」を聞き返すようにしていますね。マニュアルではなく、自分で考え、物事の根幹を見て仕事をしてほしいと思っています。上下関係なく、オープンに同じような立場、目線で仕事をして、知識や経験をシェアするように努めています。

山東:パタンナ―の仕事は、デザイン画の通りにしてしまうと、製品として違和感が出てしまうので、欠けている部分を想像して、アレンジしたパターンを作る必要があります。紙でパターンを出力して、縫わなくてもホッチキスとセロハンテープなどで実際に組み立ててみると、そのデザインが可能か不可能か分かるんです。そんな風に、先入観だけではなく想像性豊かに仕事をしてもらうように心がけています。

竹内:フリーランスのため後輩はいませんが、自分が後輩だった時は、なんでも言い合えて相談できる環境でした。自分がいたチームの仲がよく、誕生日会やハロウィンパーティなどイベントも多かったので、仕事以外でコミュニケーションをとっていましたね。それが仕事にも反映され相談しやすい環境ができていたと思います。

YourPosition_竹内さん

学生に伝えたいこと

廣嶋:イメージにどう近づけるかがパタンナーの腕の見せ所なので、実際に作ってみてどうなるかをフィードバックしてもらいたいです。最初はうまく行かなくてもいいです。失敗したことも経験値になります。日々忙しい学生生活の中で、せっかく作った洋服を自分のイメージに近づけるにはどうすれば良いか、その結果を自分の引き出しとして一つでも増やしていくと伸びていくと思いますし、その引き出しは自分の武器になると思います。

山東:パタンナーとしてのやりがいを一番感じられる時は、他の会社では上手くいかず、弊社でしかできないという理由で依頼される時です。自分が何をするのにどのくらい時間がかかるのか、計画を立てる上で自分の時間を把握することが大切だと思います。

竹内:学ぶことは学生の特権です。分からないところは研究する、先生に聞くなど追求し続けてほしいです。社会人になってやろうと思ってもできないことが多いので、学生ならではの若さとパワーで探究心を深めてほしいです。就職活動は思うように行かないこともありますが、自分がなりたいところを目指し続ければ道は開けるので、諦めずに進んでいってほしいです。
あとは、現状一般的に使われていなくても、3D CADなど新しい技術を活用して新たな提案ができるようになると、就職活動でも強みになるのではないかと思います。

YourPosition_登壇者3名