企業やメディアで多面的な発信力を鍛えた編集者

「MINE」の岡澤副事業部長

岡澤・副事業部長は大学卒業後に光文社で雑誌・ウェブの編集を10年経験。メディア業界におけるウェブサイト黎明期に関わった後、日本マイクロソフトで海外向けのコンテンツ制作に携わったり、コンデナスト・ジャパンでウェブメディアを担当した他、日本ロレアルでは企業マーケティングを行うなど、あらゆる側面で発信力を鍛えてきた。

SNSが台頭し始める中、これまでのように“敷居が高い”ブランドではなく、顧客と同じ目線で共感を呼ぶことができる新時代のラグジュアリーブランドのあり方(デモクラティック・ラグジュアリーとも呼ぶ)を模索してきた。企業とメディアの両側から発信方法・共感の生み方を見てきた岡澤副事業部長が「MINE」のブランディングのために3ミニッツへ入社したのは2017年末のことだった。

「MINE」のサイト

「『MINE』は動画を中心に一次コンテンツを作るウェブ専門の珍しい媒体。キュレーションサイトのようなプラットフォーマーが大きな収益をあげる時代に、スタートアップというブランド背景のない状態で、いかにメディアをブランディングできるのか。メディアの構造を再定義するという挑戦でもありました」(岡澤・副事業部長)

悩みに寄り添う共感コンテンツが魅力

これまであらゆるメディアを見てきた岡澤・副事業部長が入社時に最初に感じた「MINE」の特徴は「等身大のユーザーに近い編集部が作りたいコンテンツを作っている」ということだった。
「多くのメディアはターゲットを決めてペルソナを作り、そこに刺さりそうなコンテンツを作る、いわゆる編集部の“一人称”が立たないような編集をやっています。一方の『MINE』にはメディア経験者がほとんどいなかったこともあり、編集部の個が立っていた。『MINE』でも当時のTVCMで『Be yourself, life is mine(人生は自分のものだ)』をタグラインとして掲げていましたが、3ミニッツには会社として個を重んじる文化があります。だからこそ『MINE』で紹介する人についても、自分自身を持っている人にフォーカスするということを意識しています」(岡澤・副事業部長)

MINEキービジュアル

引用元:MINE

「MINE」のターゲットは27~32歳の女性。ライフステージの変化にともなう悩みを抱える世代だ。特にSNSが発達した昨今では、友人の近況を手軽に知ることができ、焦る気持ちもつのりやすい。そうした女性にとって“2つ年上の友人”のような存在として提案駅る媒体を目指している。掲載するコンテンツの基準も「悩みに寄り添えるかどうか」だ。

「最近ではケータリング『美菜屋』を本格始動したモデル・浅野美奈弥さんの連載がスタートしましたが、彼女はかつて自身の病気をきっかけに食に興味を持ちました。こうしたバックグラウンドがあると、コンテンツの意味合いが大きく変わってきます。共感してくれる人の顔が見えるんですね。生き方に正解がない時代にだからこそユーザーは共感できる人を見つけたいと感じています。こんな生き方をしてもいいのか、という発見をすることが今のメディアのあり方だと思うんです」(岡澤・副事業部長)掲載するコンテンツの基準について語る岡澤氏

36万投稿を集めたハッシュタグ「#mineby3mootd」

そんな「悩みに寄り添う」メディアだからこそ、SNSを通じてファンとのダイレクトなコミュニケーションを大切にしている。その一つの実例がユーザーのコーディネートを集めるためのハッシュタグ「#mineby3mootd」だった。最初はインフルエンサーにも積極的に投稿を依頼しながら、「MINE」アカウントからも一般ユーザーの投稿にコメントをするなどして地道に認知度を上げてきた。

ハッシュタグ「#mineby3mootd」

さらに、ここからピックアップしたコーディネートを組み合わせてメディアで紹介することで、取り上げられたいユーザーの投稿も増加。ファンの熱量によって良質なコンテンツができ、新たなファンが生まれるという好循環ができた。今では、ハッシュタグ投稿画像に対してバックパックメーカーなどの企業タイアップがつくこともあり、ハッシュタグ自体がメディアビジネスとしても機能している。

共感を集めるための編集部体制

ペルソナに対して一方的にコンテンツを提案する既存メディアとは異なり、「MINE」はSNSでの交流などを通じて、具体的なファンが可視化できている状態といえる。こうした関係構築を維持するため、編集部の他にマーケティングチームやプロモーション担当、広告設計、営業担当などあらゆる人員が「MINE」にそろっている。SNS担当に限っては、複数のインスタグラムアカウントやLINEアカウント、youtube、Pinterestなど数々のアカウントを細かく管理・運用しているという。

共感を集めるため編集部を細分化していると語る岡澤氏

「そもそも共感を深さで測るのか、広さで測るのか。マーケティング・オートメーションによってユーザーごとに最適なマーケティングが行われる時代に、広く刺さるようなものからピンポイントなニーズに対してヒットするものまで、メディアにおいては両方の指標が必要で、そのためにはそれぞれのコンテンツが誰に語りかけるものなのか、それがしっかり見えている必要があります」(岡澤・副事業部長)

SNS時代に共感を集める方法について聞くと岡澤・副事業部長はこう答えた。ファンの共感を得るためには「誰が何を語るか」が重要だということだ。まさに「MINE」が掲げる「個の時代」ならではのメディアのあり方を体現することで、広さと深さ両方の共感を集めることができるのだろう。

岡澤氏ご登壇のイベント開催決定!
詳細はこちらから↓