ひみつのおしゃれ工房HOUGA紹介画像

(写真左:佐々木氏、写真右:石田氏)

“ひみつのおしゃれ工房” は、代表の佐々木和枝氏が自身の地元である千葉県四街道市で9年前に立ち上げ、サンプル製作・小ロット生産を中心とした縫製事業を行っている。「人を想う、地域を想う、地球を想う」をコンセプトに、働きに出れない事情がある地域の人々に縫製作業を依頼していることがこの工房の大きな特徴だ。

「”ひみつのおしゃれ工房”は、外でお仕事ができない事情がある地域の方々と分担して、仕事を進めています。一応メインの拠点はここですが、本当はみんなのお家が工房だよ、ということで、”ひみつの”というネーミングにしました。」(佐々木氏)

ひみつのおしゃれ工房佐々木氏

「小学生のときに小室哲哉さんのチャリティーイベントを見て、好きなことを極めると何かの役に立てるんだ、と思ったんです。私はずっと洋服を作るのが趣味だったので、それを極めて人の役に立ちたいと考えるようになりました。」(佐々木氏)

専門学校で縫製を学び、会社勤めをしていた佐々木氏であったが、地域のNPO活動に参加する中でその想いを叶えるきっかけを得た。

「NPO活動では育児中のお母さん方と話をする機会があり、育児が大変で仕事を辞めざるを得なかったり、引きこもりがちになっている方がいるのを知りました。そういった方々をつなげて、仕事ができないかと考えました。」

「障害のある方々の団体とも交流があり、その中にすごく器用で、同じことを続けるのが好きな方がいることも知りました。縫製現場だと、ゴムをひたすら切るなどの作業もあるので、そういった方が活躍できそうだと思いました。」

こうした気づきから、佐々木氏はひみつのおしゃれ工房の構想を固め、地元の四街道市で事業をスタートさせた。

現在では、これまで外で仕事が出来ず困っていた家庭を13件もつないでいる。それぞれの得意分野を見極めながら仕事を分担し、四街道地域の人々に雇用と活躍の場を広げている。

ひみつのおしゃれ工房ホワイトボード

「スケジュール管理が結構大変で。ホワイトボード買わなきゃ、と思ってポチったら、めちゃくちゃでかいのが来ました。」(佐々木氏)

HOUGAのフリル

HOUGAのフリル

HOUGAは、ブランドの代名詞ともいえるフリルの製作をひみつのおしゃれ工房に依頼している。

―洋服の縫製工場さんの中でも、フリルのようなパーツのみの縫製をお願いできるところはなかなかないので、本当に助かっています。フリルも地域のみなさんに作ってもらっているんですか?(石田氏)

「そうです。まっすぐ縫って、ひもを通すという作業内容なので、地域のみなさんに仕事を振りやすかったです。自分の作ったフリルが服になって、ランウェイに出たりするのは、みなさんにとっても嬉しいことだと思います。」(佐々木氏)

HOUGAランウェイ

(写真:HOUGA 2023SSコレクションより)

人・地域・地球をつなげる古着リメイク

ひみつのおしゃれ工房では、地域で着られなくなった服を回収する活動もしている。回収した服は、そのまま古着として販売しているほか、新しい生地やアイテムへのリメイクも行っている。

「一時期、中国の工場に駐在していたんですが、そこでは10代の若い子が寮に入って働いていました。その子たちが朝起きてから寝るまでずっと縫う生活をしているのを見て、ショックを受けました。安く作るためだと思うんですが、そういう服って、すぐ捨てられちゃうじゃないですか。それも悲しくて、誰かが一生懸命作ったものを、もう少し大事にしてもらえるような仕組みを作りたいと思いました。」(佐々木氏)

ひみつのおしゃれ工房内観

ひみつのおしゃれ工房には店舗も併設されており、そこには地域から集めた古着をリメイクしたアイテムが並ぶ。
地域の人々と分担できる強みを活かした、小ロットでの生産品が中心だ。

 

HOUGA石田氏の目を引いた、創造的なリメイク

数あるリメイクアイテムの中から、石田氏の目を引いたものをいくつかピックアップして紹介する。

ひみつのおしゃれ工房リメイクアイテム「お手玉」

古着の生地をお手玉のように丸く縫い、紐で繋ぎ合わせたもの。一つずつ手縫いのため、一人で作るのは難しい。地域の力があってこそ出来上がったものだ。

ひみつのおしゃれ工房リメイクアイテム「ピンクの生地」

石田氏が「めちゃくちゃかわいい!」と絶賛したリメイク生地。ピンク系のセーターやカーディガンをロックミシンで縫い合わせたものだ。

ひみつのおしゃれ工房リメイクアイテム「大きいバッグ」

展示会のメインアイテムとして販売した大きなバッグ。薄手のニットや子供服など伸縮性のある生地を裁断し、中綿を詰めたパーツを編むことで作られている。

ひみつのおしゃれ工房リメイクアイテム「着物リメイク生地」

家庭のタンスに眠っていた着物をリメイクした生地。和裁ができるおばあちゃんがいるとのことで、地域に多様な素材や人材が眠っていることが伺える。

 

地域の力を結集したリメイクの可能性

―商品化、量産するハードルが高くて断念したアイデアがこれまでに沢山あったんですが、今日色々なリメイクのアイテムを見て、できる可能性があるんだなと思いました。(石田氏)

「リメイクはまだ始めたばかりなんですが、今後ブランドさんとコラボして、何か新しいことをやっていきたいです。是非一緒にできるといいですね。」(佐々木氏)

諦めてしまうようなことも、地域の力を集めればできる。ひみつのおしゃれ工房のリメイクが様々なブランドとコラボするのを、今後楽しみに待ちたい。

ひみつのおしゃれ工房HOUGA対話