サザビーリーグ × TO NINE 「D2Cは“当たり前のことをダイレクトにやる”だけ」
サザビーリーグは4月、ネット販売に限定した新ジュエリーブランド「ARTIDA OUD(アルティーダ・ウード)」を開始した。インド・ジャイプールの工房から直接仕入れて販売するD2C式で、D2Cブランドの支援を得意とするTO NINEと組んでブランドの戦略を練った。
D2Cブランドの課題について、サザビーリーグの相川慎太郎・営業統括 WEB戦略部 部長 兼 営業統括 ECブランド事業部 事業部長は、「どうすればオンライン上でブランドの良さを伝えられるのか、そのためのコンセプトをどうするのかが非常に重要。差別化ではなく、違いを積み上げる“差積化”を意識した。ニッチな客層がメーンなので、ターゲットを深掘りしながら、ここで得られたアセットを他ブランドにも展開していく予定だ」と説明する。
TO NINEの吉岡芳明・執行役はD2Cブランドの特徴について、「ポップアップを実施する際には販売員だけではなく、ディレクターなども店頭に立つことで、直接顧客とコミュニケーションをとっている。D2Cと聞けばテクノロジーっぽいイメージを抱くが、当たり前のことをダイレクトに、当たり前にやっているだけだ」と強調した。
パル × マクアケ 「社内アイデアを具現化する“クラウドファンディング”の可能性」
アパレル大手のパルには20年ほど前から「拝啓_社長殿」という施策がある。企画アイデアを社内から拾い上げるための窓口だが、これまでアイデアをうまくアウトプットできていないという課題を抱えていた。そこで、サイバーエージェント傘下でクラウドファンディングを行うマクアケと業務委託契約を結び、資金調達によるアイデアの具現化という“別の出口”を用意した。 これが奏功し、水を通さないスニーカーやシーンを選ばないパッカブルコートなどを商品化。他にも、店頭での接客がきっかけとなって生まれた“オーガニックな消臭ミスト”「ONEME(ワンム)」もスタートしたばかり。
マクアケでファッション、エンターテイメント領域を担当する木曽恵里夏キュレーター は、「われわれはモノが世の中に出て行く最初のお手伝いをする役目がある」と話す。 こうした新規事業を担うのはパルの國宗篤史・室長率いるクリエイティブデザイン室で、最近では日本出版販売と組んで新店舗「ベースヤードトーキョー」で漫画を販売するなど、店舗の新しいあり方を模索し続けている。
トゥモローランド × メッシュウェル 「人手不足の販売員に“シェアリング”という新手法」
メッシュウェルは今年7月、ベイクルーズ出身の窪田光平・社長が立ち上げたばかりの販売員専門のマッチングサービス。育児などの隙間時間を利用してフリーランスの販売員と人手が足りない店舗をマッチングする、ありそうでなかったサービスだ。平均2時間半程度の稼動で、販売員やスタイリスト経験のある主婦などが無理なく働けるサービスとして注目を集めている。
まずはトゥモローランドと組み、2店舗で実験的にサービスを導入。8回(合計17時間)の導入でなんと80万円近くの売り上げにつながったという。トゥモローランドの吉倉高広・執行役員人事部長も、「隙間時間を埋めてほしい程度に考えていたが、思いもよらない成果が出た」と驚く。サービスは19年1月に本格始動する予定で、今後は販売員ごとの得意分野を可視化し、精度の高いマッチングを実現していく予定だ。