「SNS時代の共感とファッション」トークイベント

ーーまずは自己紹介からお願いします。

松本:バロックジャパンリミテッドの松本です。北海道生まれ・横浜育ちで、高校を卒業して美容専門学校に進学したのですが、美容師にはならず、2008年にSLYのアルバイトとして入社しました。その後本社でSLYのインスタグラムを開設し、SNS運用を担当するようになって、今はSNSチームのグループリーダーをやっています。

SNSのコミュニケーションで工夫しているポイントが4つあって、ブランディングとトンマナ・目的を明確にすること、あらゆる視点から猛アプローチをすること、個性を育てて進化し続けるためのパーソナルトレーニングをすること、そしてライブやムービーで体験ときっかけを提供・共有することです。

まず、弊社では、1つのブランドでも、公式のアカウント以外にスナップアカウントやセカンドラインのアカウント、ブランドを身近に感じてもらうためのインフルエンサーのアカウントなど、役割とレギュレーションを分けてアカウントを運営しています。

バロックジャパンリミテッド 松本氏2番目の猛アプローチというのは、洋服を買ってもらう事を前提として共感を得ようということです。きっかけは衣食住なんでもいいと思っていて、犬や猫などのペットが好きとか、ディズニーが好きとか、共感出来るコミュニティーをイメージすることがすごく重要だという教育をしています。
3番目のパーソナルトレーニングについては、インサイトを見て投稿を振り返ることで次はこうしようというトレーニングで、より良い投稿をするためにリアルタイムな悩みやアドバイスなどは持ち越さず、担当者とビジュアルスタッフ間で365日・24時間スピード感を持って確認し合っています。常にいいもの、フォロワーに役立つ情報を、発信し続けていって真の影響力を育てたいということです。
最後は、ライブやムービーで体験・きっかけを提供・共有すること。SNSはユーザーと直接コミュニケーションできることが一番のメリットです。ファンサービスをしながらフォロワーの満足度を高めることができ、こちらとしてはマーケティングにも活用できる素晴らしいコンテンツだと思います。長くなっちゃいましたが、以上です(笑)。

Juemiデザイナー滝口氏
滝口:Juemiデザイナーの滝口と申します。1994年生まれで、母が中国出身なので、私は中国の学校で育ちました。その後、日本に来たのですが、母が自由な人で、変な言い訳して学校休ませてくれて、いろんな国を連れ回してくれて(笑)。そうして15歳の時に中国で買い付けたものを日本のフリマで売ったりしてちょこちょこ稼ぐようになりました。その後109のビジュアルスタッフを経てまた旅に出るんですけど、その場にあった洋服とかメイクとか、もっと魅力的に見えるスタイルを見せたいなという思いで、20歳の時にjuemiを設立しました。
最初はオリジナルで洋服を作るお金もないので、買い付けた商品でお金をためて、どんどんオリジナルを作るようになって、今ようやくブランドらしさが出てきたところです。直営店はないんですが、2カ月に1回はポップアップをやっています。

SNSについては、ブランドのインスタグラムを1日3件は投稿するようにしていて、本当はもっとこだわりたいんですが、スタッフが少なくて、なかなかできていない現状です。個人のアカウントも毎日投稿したいんですが、撮ってくれる人がいないときもあるので…(笑)。

MINEの岡澤氏

岡澤:3ミニッツで「MINE」というファッション動画メディアをやっています、岡澤です。大学時代にウェブマーケティングについて学びまして、新卒でJJやGainerなどの雑誌編集をやり、そこでサイトやブログ、SNSを立ち上げたりしました。その後、マイクロソフトのメディアのローカライズやコンデナストのウェブコンテンツ全般を担当したり、日本ロレアルでグローバルマーケティングをやったりして、3ミニッツに入りました。MINEでは、ブランディング、ウェブのリニューアルに始まり、メディアを大きくして収益化していくことを担当しています。

実はプライベートではフードインスタグラマーでして、7アカウントくらい持っています(笑)いろんな投稿からどれがエンゲージメント高いのかを突き詰めた結果、洋食アカウントや定食アカウントができて、共感を得るハッシュタグやペルソナを設計しながら、アカウントを運営したらすごい伸びてですね。最近では「ロールキャベツ」というテーマで「マツコの知らない世界」に出させていただきました。

松本さんも話されたように、インスタは筋トレだと思っていて、目指すところと鍛えるところを自分の中で鍛錬するべきなのかなと思っています。あとは嘘をつかないこと。嘘をつく人に友だちができないように、「インスタ映えならなんでも売れる」ということは絶対にないんだということをこれまで感じてきました。結局、商品が良くないと売れない。あとは、エモーショナルとファンクショナル。エモいだけじゃダメで、裏にある機能性が大事だと思っています。「アップル」に代表されるような“デザイン性と実用性”を設計していかなければいけないのかなと。

ーーありがとうございます。では、ここからはテーマに沿ってお話を聞いていきます。まずは商品作りついて。SNSは商品があってこそだといいますが、その辺の話を聞きたいなと。

松本:売れる商品と売れなかった商品は明確で、やっぱり商品が良くないと売れないんです。どこがどのように良いのかというセールスポイントが明確で、わかりやすく伝えられているか。MOUSSYの人気アイテムはデニムなんですが、やっぱりそもそもモノづくりにこだわっていて。売れなかったアイテムは、商品の良さを伝えられなかったものが多いんです。

ーーめちゃくちゃ売れた、みたいな予想外のエピソードはありますか?
めちゃくちゃ売れた予想外のエピソードついて語る滝口氏

滝口:ロゴものがめちゃくちゃ売れました。私は私服でロゴものを着ないので抵抗があったんですが、機会があって作ってみたら転売が起こるくらいの売れ行きで(笑)。予想外だったので、続けるようにしています。

松本:最近とあるドラマで着用していただいた商品が放送後にめちゃくちゃ売れて、テレビの力ってすごいんだとあらためて感じました。むしろSNS時代だからこそ、テレビで出たものがすぐにSNSで情報として見られるので、購買に直結しやすいのかもしれません。

ドラマで着用された商品がめちゃくちゃ売れたエピソードを語る松本氏

ーーSNSでのファンの声を生かすことは?

滝口:声を生かすかどうかは自分次第ですが、声をちゃんと聞いているという姿勢は見せなければいけないですね。juemiではXSが一番人気のサイズで、Lサイズは作ったことがないんですが、クレームになったこともなくて。このあたりはファンの声を反映している部分ですね。

岡澤:MINEでは定期的にインスタライブをやっていて、占い師の方に出てもらってユーザーの相談にのったり、夜の編集会議という名前で企画会議をライブ配信しながらユーザーのフィードバックをもらったり。あとメディアでいえば、PVや再生回数、SNSでの反応という形で数字が如実に出るので、数字もユーザーの声だと思っています。