パーソナルスペースを「着る」新しいデバイス
「WEAR SPACE」は集中力をコントロールするために視覚と聴覚を制限したデバイスで、ノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスヘッドホンと、水平視野を6割カットするパーテーション機能をあわせ持つ。
快適さを追求した斬新な装着スタイルが特徴で、外から見ても集中モードであることが一目でわかるデザインだ。ターゲットはソフトエンジニアやウェブデザイナーなどのデスクワーカー。
製品化のために今年パナソニック傘下で設立されたIoTハードウェア開発企業のシフトール(shiftall)と協業し、パナソニックが企画を担当、設計・製造・販売をshiftallが担う。クラウドファンディングにはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下の「GREEN FUNDING by T-SITE」を利用する。
「『WEAR SPACE』は“空間を着る”というコンセプトのもとで生まれました。働き方や職場がオープン化する一方で、集中して仕事に没頭できる環境が必要だと考えたのです」(姜氏)
デザインを担当する姜花瑛氏いわく、側圧による密閉感と快適な装着感のバランスを意識して試行錯誤してきた。現在も、sitateruと共にファブリック部分の試作を進めている。従来のウェアラブルと聞いて想像するような機械っぽさは少なく、見た目もどちらかといえば洋服と同じファブリックが目立つ、新しいカテゴリーのウェアラブル・デバイスだ。
大企業の中でスタートアップのような活動を行うデザイン集団
「FUTURE LIFE FACTORY」はパナソニックの家電部門を担うアプライアンス社が2017年に始動したデザイン集団。社内にある家電部門のデザインセンター所長直下で、7人のデザイナーが所属する。
事業部に紐づいたいわゆる“正統派”の商品開発をするのではなく、「FUTURE LIFE FACTORY」では事業化のめどもなく、まだまだ事業部に紐づかないような新領域の先行開発を行っている。「WEAR SPACE」もここで企画されたプトロタイプの一つだ。
17年には開発段階でデザインの世界的アワードの一つ「レッド・ドット・デザイン賞」の最優秀賞とも呼べるベスト・オブ・ザ・ベストを受賞。すでにアパレルブランドの「アンリアレイジ(ANREALAGE)」とも展示会でコラボするなど、オープンな商品開発を続けてきた。
パナソニックとしても企画開発商品でクラウドファンディングを行うのはこれが初めてというが、こうした取り組みも大企業としては珍しい。本来2年近くかかる製品開発も、新たなスキームによって、約10カ月まで短縮するこが可能だという。
「既存のやり方では社内提案でボツになったプロダクトも多くあって、このままでは社会を変えられないのではないか、と数年来考えてきました。今回はデザイン段階で社外にアイデアを出すことでフィードバックを得られ、新しい事業機会を素早く検証したい。パナソニックとしての新しいスキームを開発し、社内に風穴をあけることが私たちの仕事です」(姜氏)
「WEAR SPACE」クラウドファンディングサイト:https://greenfunding.jp/lab/projects/2463
WEAR SPACE project:https://wearspace.info/
