デジタル・ネイティブ・ブランド勃興の時代に
「こんな服があったらいいのに」と思う機会は誰にでもあるもの。そういった個人の小さなニーズや悩みであっても、潜在的に多くの人に通じる課題であることもある。ファッションの歴史でいえば、ココ・シャネルも、時代的背景や女性の潜在意識を汲み取ったスタイルを世界に提案したことで、多くのスタイルを生み出した。
時代は進み、発信や販売、ものづくりが、テクノロジーにより解放され始めた現代。ECのみで展開されるブランドや、D2C(Direct to Consumer)のブランド、そしてDNB(デジタルネイティブブランド)がトレンドになっている。
今回、そんな志のある女性を支援するためのプロジェクト「NEW ERA BRAND Challenge」が立ち上がった。衣服系ブランドプロデューサーを志す一般女性を募集し、 2ヵ月をかけて、実際に商品化する優勝チームを決定。SHE株式会社、ストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社、シタテル株式会社、株式会社CAMPFIREの4社の協力で進められた。
優勝チームは、各社からブランディングメソッドや、EC運営サポート、製作支援、資金調達のレクチャーなどがそれぞれ提供され、商品化までの一貫プロセスを支援してもらえる仕組みだ。
ひとつの分野に特化した世界観の濃いブランド
12月14日、130件近くの応募から残った4名が、最終審査会でプレゼンテーションを行った。集まった特別審査員は、ENELSIA クリエイティブディレクター 山賀 琴子氏、株式会社ウツワ 代表取締役社長 ハヤカワ五味氏、TUMMY株式会社 代表取締役CEO 阿部 成美氏、6curry ブランドデザイナー
YOPPY氏、株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 岸裕 一郎氏、株式会社Moonshot 代表取締CEO菅原 健一氏、の6名。
ファイナリストたちは、それぞれ個性的なブランドを提案した。
嶋橋理絵さんは、壱岐島出身というバックグラウンドから、ビーチフォトウエディングのための水着素材のドレスブランド「kikirico wedding」を提案。国内の美しい島と海の景色を残したいという思いと、フォトウエディングの需要の高まりをかけ合わせた。
上平田蓉子さんは、働く女性に寄り添う相棒服として「虹を纏う服」をプレゼンテーションした。社会で奮闘している女性が自分らしく生きていけるようなコミュニティを作り、完全予約制の試着会などをしていきたいと語った。
長谷川莉子さんが提案したのは、エシカルでありながらゴージャスなバッグブランド「FOREL」。エシカルやサステナブルというテーマに関心がある人は多いにもかかわらず、既存の服には自分の好きなゴージャスなテイストのものがない、という課題からだった。
金愛那さんは、1つ買うと3つのアレンジがついてくるセット服「1+3」で組み合わせを楽しんで一つの服を長く愛用できるという売り方のブランドを提案した。
審査員からは、既存商品との差別化や、コア・バリューなど、鋭い質問も飛び交った。いずれのプレゼンテーションでも、ひとつの分野やシーンに特化し、ユーザーのニーズや、世界観を深く掘り下げていたところが特徴的だった。
人の心を動かすのは「覚悟」と「熱意」
審査の結果、グランプリは、「相棒服」をテーマにした上平田さんに決定。審査員の山賀氏は、「審査員の質問で、もしこの賞をのがしても自分でやりますか?という質問に、即答で『はい!』と答えていた、”覚悟”が印象的でした。熱量の高い上平田さんなら頑張れそうだなと感じました」とコメント。
また、まずはじめに濃いコミュニティをつくるという計画も大きな評価ポイントとなったようだ。
特別賞には、「一着に3個のオマケが付いてくる1+3」を提案した金愛那さんが選ばれた。
「旅行や仕事終わりなど、着るシーンを具体的に提案してあげるとよりユーザーのメリットが分かりやすくなりそうです」と、審査員のハヤカワ五味さんよりのコメントがあった。
今後の進捗などは、公式noteで発信される。これから、共催4社のバックアップによって、上平田さんによるブランドがさらにブラッシュアップされ、世にお披露目されるのが楽しみだ。
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