金型から日本製にこだわり、仕上がりの良さを追求

ここは、日本でも有数の帽子工場。染色から機械編み、縫製まで全て同じ敷地内で一貫して行っている。 例えばニット生地のハット帽は、まず機械で編み、その後職人の手によって金型にいれ、形を整える。最近は流通している帽子の金型のほとんどが他国産のものだが、仕上がりのきれいな日本製の金型にこだわっている。その数、なんと800種類。今では、これだけの日本製の金型を持っている帽子工場は少ない。また、金型を作る職人がもうほとんどおらず、とても貴重なものになってきている。

帽子工場 日本製の金型

金型に入れていく作業は、そう簡単ではない。熟練された技術と長年の経験がものを言う世界。黙々と形を整えていく職人たちの手捌きは、息を呑むほど無駄がない。 ハットの金型 その後、ハットは釡に入れ、冷まし、他の素材と共に縫い合わされていく。一つの帽子を作るのには、たくさんの工程がある。染色は、熊本・阿蘇山の綺麗な水をうまく活用している。色の種類も多く、仕上がりとバリエーションには自信がある。 ハットの染色工程

作ったその先が見えるものづくり

「私たち作る側の人間は、帽子を作ってしまえばそれで終わりで、買っていただいたお客様の情報などもなかなか入ってきません。私たちとしては本当は帽子を作って終わりではなく、その先の情報が知りたいと思っています。その面では、仲介する人が少ないためそれが見えやすくて、ありがたい」(工場長)。 「追加注文」と言うかたちで、作った商品が好評であるとわかるのは工場にとって一番嬉しい瞬間だ。 「お客様に気に入ってもらえた!という実感を直接感じることができるからです。なのでこれからも「追加」されるような良い商品を作っていきたいと思っています 」。 工場長

いい仕事をずっと続けていくために

仕上がりの良さからは、帽子をひとつひとつ金型にはめていく職人の手の温かさを感じられる。豊富なバリエーショ ンの日本製金型、手の良い職人、染めに適した水環境が、良いものづくりを支えている。 実は、この工場では若い世代に人気の有名帽子ブランドの商品も縫製している。だが、それらの帽子が一体どんな工場で作られているということまで考える人は、早々少ないだろう。 「だからこそ、こういった(シタテルのような)サービスが盛んになって、若い人たちが縫製工場の存在を知って 興味を持ち、最終的には後継者となってくれると嬉しいですね」。 仕上がったハット