ブランド名に込めた、「日常と非日常」の境界線を越えるという挑戦
今、新進気鋭のブランドとして海外からも大きな注目を集める「ANREALAGE(アンリアレイジ)」。「ファッションのあらゆる”境界線”を超えたい」デザイナーの森永邦彦さんはこう語る。ANREALAGEとは、A REAL-日常、UN REAL-非日常、AGE-時代、を意味するそう。「白と赤、SとM、男と女、春と秋、日本と海外、上の世代と僕らの世代、そして、日常と非日常の間。日常のあらゆる境界線を越境すること」が、ANREALAGEの哲学なのだ。
様々なアプローチとテクノロジーを用いてファッションを更新し続ける
17SSのコレクション「SILENCE」では、AR(拡張現実)技術を使って「沈黙の中に、声を探す。声なき服に、耳をすませば。」という世界観を表現した。専用アプリケーションを服にかざすと、服の模様が動き出したり、音が鳴り始めたりする仕様だ。 16SSのコレクション「REFLECT」でも、スマートフォンのフラッシュ撮影によって、画面の中で柄が浮かび上がるような反射素材を使った作品を発表した。ブランドが始まってから、毎回違ったアプローチで、ファッションの新しい形を探してきた。
創作理念は「神は細部に宿る」緻密なデザイン、丁寧な縫製で作り上げるクリエイション
斬新な作品を世に出し続けながらも、その創作の根幹にある信念は「神は細部に宿る」。ドイツのモダニズム建築家の残した言葉だ。 細かいパッチワーク、難しいデザインそれを丁寧に縫製して作り上げる。アイテムの生産は国内の中小の縫製工場を利用している。世界に誇る日本の高い縫製技術を生かし、斬新なクリエイティブを緻密に形にしていく。だからこそ、世界から注目されるブランドに成長してきたのだと感じる。 ブランドが急成長する中で、生産管理のチームをシタテルがサポートしていくことになる。「sitateruはテクノロジーの活用により細やかな生産プロセスを管理できる。シタテルは日本の古い産業構造にイノベーションを起こしつつあると感じています。」(森永氏)
パリコレクションへ進出、日本と海外の境界線を超越する
ブランドを立ち上げてから12年、アンリアレイジは「さらに一歩進むため」、15年春夏コレクションから発表の場をパリに移した。初参加のブランドとしては異例の公式スケジュールを獲得したことでも話題となり、14、15、16年とパリコレに参加したANREALAGE。バイヤーの評価も高く、海外展開の糸口を確実に手にした。 「これから海外が私たちのフィールドになっていくわけですが、最終的には世界で学んだことをどう日本に結びつけるか――そこを目標にしたいと考えています。ずっと東京でやってきたブランド で 、いつかは世界から東京に戻ってくるタイミングがあります 。その時しっかり海外での認知度を得ておきたいし 、日本に何かを還元したいと思います。」(森永氏)