Psychic VR Lab × パルコ「VRがファッションの意味を変える」
パルコは今年、渋谷PARCOのリニューアルオープンを前に、さまざまなテクノロジーを取り入れているが、特に注力するのが「VR」。VRクラウドサービス「STYLY」を提供するPsychic VR Lab等と組んで、店頭でのVRやMRの活用を模索している。2018年には3D空間クリエイターを発掘・育成する“NEWVIEW”プロジェクトも始動したばかり。「VRやMRを活用すれば、サンプルを作ることなく試着の体験や商品の注文ができたり、顧客の購買のプロセスにまつわる様々なデータを収集が可能になる。われわれショッピングセンターにとっても売り場の作り方が大きく変わることになるだろう」と林直孝パルコ執行役 グループICT戦略室担当。八幡純和Psychic VR Lab Creative Directorも「今後VRの発展とともにファッションの意味は大きく変わるだろう」と話した。
Candee × DaTuRa「ライブコマースで新たなカリスマ販売員が登場する」
ライブコマース大手のCandeeは動画マーケティング支援やプライベートブランド事業、VTuber育成など、“ソーシャルビデオ革命”をキーワードにあらゆる事業展開を続けている。同社と提携する109系ブランド「DaTuRa」では、同社プレス担当がライブコマースを通じて商品を販売しており、最近では福袋も即完売したほどだ。自身もライブ配信に登場する石田直裕・英インターナショナル DaTuRa Assistant Directorは「当初ギャルブランドがほとんどなかった『ライブショップ』で大きなインパクトを残せたと思う」とコメント。谷古宇幹也Candee Live Shop! Account Salesも「ライブコマースはECサイトと併用して効果を発揮できるPUSH型販促ツール。日本各地にいる地方の店長たちからカリスマ販売員が生まれてくる時代だ」とライブコマースの特徴を語った。
SENSY「AIでアパレル業界の在庫問題に挑戦する」
数多くのファッション企業に対してAIサービスを提供するSENSY最大の特徴は“感性工学に基づいたAI”を持つという点だろう。自社のサービスについて竹下加奈子SENSY執行役員は「『顧客がなぜあの服を買ったのか』を正確に把握できている会社はない。そもそも顧客も意識して洋服を買うことはないはずだ。こうした無意識の行動をAIによって分析・予測する」と説明する。SENSYの今年の大きなテーマは“在庫問題”だ。試験段階の「SENSY-MD」というマーチャンダイジングのシステムによって、初回発注計画の最適化や店別配分計画などを提案するという。「こうしたルーティンはAIに任せて、もっとクリエイティブな仕事に時間を使ってほしい」(竹下氏)。
島精機製作所 × sitateru「ソフトウエアでサステイナブルな生産体制を構築」
ホールガーメント横編機を含めたニット編み機、パターン製作などのハードウエアが主力の島精機製作所だが、実は効率的なデザイン・生産のシステム化のためのソフトウエアの開発・提供も同社の重要な事業の柱となっている。具体的にはデータサンプルを使って無駄なサンプルを作ることなく商品企画を考えるなど、サステイナブルの観点でも非常に有用な手段となっているわけだ。伊藤淳治・島精機製作所東京支店伊藤淳治氏は「デザイン承認にかかる期間を短縮したり、売れ残りによる在庫問題にも対応できるだろう」と説明。例えば、sitateruが提供する受注生産システム「SPEC」と連携するなどの施策によって、今後は受注生産型のスマートな衣服生産の仕組みを体系化していくこともできるのではないかと語り合った。
後半の交流会では、ファッション業界に限らず、メーカーやテクノロジー企業など様々な業界の人が入り交じり、会場は大盛況のうちに幕を閉じた。イベントシリーズ Fashion Business NEW WAVEは、春ごろ次回の開催を予定している。